電力自由化の背景
明治時代に乱立していた電力会社は、大正時代に5社(東京電燈、東邦電力、大同電力、宇治川電気、日本電力)に統合されます。その後、戦時中に電力事業が国家管理となり、日本発送電が発電と送電を支配することになります。その後、電力を供給する配電を9社(北海道配電、東北配電、関東配電、中部配電、北陸配電、関西配電、中国配電、四国配電、九州配電)が担うようになりました。それが発送電一体型の地域独占体制の確立となります。後に、沖縄電力を加え、現在の10電力体制となったとされています。
電気は国民生活を守るため、大変重要となるエネルギーのひとつです。また、官公庁や民間などさまざまな事業活動においても、今や電気は欠かすことができません。このように、日常生活や事業活動を満たすため、停電が起こることなく電力を各家庭や各事業所に配分し、適切な電気料金を徴収しているのが電気事業です。このような電気事業を、全国の各地域の発電および送電を担う事業として、東京電力、関西電力、中部電力をはじめ電力10社が経営を行っています。 電力会社は民間事業となりますが、非常に重要な事業を担う性格上、国の規制も非常に多い業界として半ば公的機関の性格も持ち合わせていて、消費者側としては地域の1社のみが電力供給企業として供給を受けることができました。 民間企業でありながら、市場で競争原理が働かないことから、独占的な体制であるとの声が高まり、市場の原理を働かせてこれを解消すべきという声が集まってきました。こうした背景を基に、1993年には当時の総務省において、電気エネルギーに関する規制緩和の提言が行われてきました。
電力自由化の経緯
電気エネルギーに関する規制緩和の提言以降、国と企業及び国民を合わせてさまざまな意見や討議が重ねられました。その結果、段階的に電力自由化が実施されてきました。まず、1995年には、31年振りに電気事業法が改正され、発電事業へ新規参入が拡大されることとなりました。これによりIPPと呼ばれる独立系発電事業者が電力を供給する事業に参入することが可能となりました。 次に、「経済構造の変革と創造のための行動指針」によって1999年に電気事業法が改正され、大規模工場やデパートを対象にPPSと呼ばれる特定規模電気事業者の新規参入が可能となりました。そして、2000年3月より特別高圧電力(2万ボルト以上)、2004年4月には高圧電力(500Kw以上)、2005年4月高圧電力(500Kw未満)の電力自由化がスタートしました。また、2003年の電気事業法改正では、供給システムの安定性確保とお客様の選択肢拡大を背景に、卸電力取引所(JEPX)が創設されました。